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パサージュはまなざしの囁きに満たされている。そこでは事物は皆、もっとも予想しなかったときに、その片方の眼を一瞬開けたかと思うと目配せしながら閉じてしまい、君が近づいて見ても、それは消え失せてしまっているのである。こうしたまなざしの囁きに空間はその谺を貸し与える。「いったい私のなかで何が起こったのだろう?」とそれは目配せする。われわれは驚いて立ちつくす。「そうだ、いったいおまえのなかで何が起こったのだろう?」われわれはこの空間に小声でそう問い返すことになる。 ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論』 |
bk1 |
目次
prologue
未来の化石――非都市の存在論
都市から非都市へ
事故=偶然の反復強迫
都市表象のアナクロニズム
I
光の皮膚の肌理――都市写真という寓意
起こりえない事件の現場
都市・東京の死後の生
路上の系譜――バラックあるいは都市の忘我状態
〈現在〉の考古学
路上観察学のニヒリズム
『建築MAP東京』の都市表象
腐敗する湿原都市――昭和の死と東京
路上という〈驚異の部屋〉
まぼろしの子供たち
帝都の廃墟
無人の風景――建築が見る不眠の夢
零年の都市ベルリン
空間の消尽
映画=建築
非都市の午後
II
コンピュータの屍肉――サイバースペースの生ける死者たち
流体的アナモルフォーズの罠
電子メディアのアウラ
寄生体としてのコンピュータ
建築の哀悼劇――ヴァーチュアル・ハウスをめぐって
例外状態の建築家たち
喪の建築/建築の喪
逆説都市――室内の幻像からノワールの宇宙へ
密室パラドクスと推理小説のエコノミー
フィルム・ノワールのホームレスな主体
ポスト郵便都市――手紙の来歴、手紙の行方
啓蒙都市とグラフ理論
郵便空間のアンチノミー
インターネットの神学
appendix:二つの扉――性差という分割
暗号的民主主義――ジェファソンの遺産
サイファーパンクのフェティシズム
アメリカ的民主主義と不能の王
サイバースペースの母なる超自我
III
メモリー・クラッシュ――都市の死の欲動
都市=記憶の破壊と殺害
計算する機械としてのアルシーヴ
エクリチュールの夢魔――漢字という(ス)クリプト
夢のなかのシナ
文字と法
ハードウェアのバベルの塔
奇妙な天使たち――言葉なきものの都市
商品フェティシズムの宇宙
幼年時代の場所
都市の子午線――1998年10月21日
軸線と権力
線を越えて
カフカの塹壕戦/フロイトの鉄道的無意識
形象への道
epilogue
寓意への愛――都市表象分析の方法
スフィンクスの都市論
近代の悪夢としての古代
都市表象分析の問い
跋
索引